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その組織作りは間違いです。戦略(風味)が現場を殺す事例。
組織コンサルティングのご要望で一番多いのは、営業組織の立て直しです。これは企業にとって生命線であり、収益の源泉ですので非常にやりがいのあるところです。一方で過去に見たクライアント事例では、上策と思って実行したことが、明らかな下策であったということも多くみてきました(その立て直しは2倍大変です)。本日はそのうちの1つを紹介します。

1、小賢しいアプローチ
例えば、営業数値が目標に達成していない営業部門があったときに課題を抽出していくと、戦略的に営業ができていない、戦略的なことを考えよう、という議論が発生して「営業企画室」みたいなものが出来上がっていきます。このチームはCRMなどで顧客データベースを作って、効率的なアプローチを考えて営業に指示を出します。

その多くは
・顧客の満足度を向上させよう
・新規顧客を開拓しよう
・既存顧客の売上を拡大させよう
などです。

2、「やってないこと」に対するアプローチはリソースの限界を超える。
その結果は大体の営業部門では営業数値が向上しません。むしろ低下することのほうが多く見受けられます。なぜか?それは、営業部のメンバーは既にそのために動いていたからです。そこにやるべきことを増やされても、そんなリソースは残っていないのです。営業部員は元々こういった課題を認識していたのです。「そんなに馬鹿じゃない」というのが現場の感覚です。「やれていないこと」に視点を向けた時点でアプローチを間違えています。正しいアプローチは「やっていることに目を向ける」です。上記のような場合、大体営業は多くの一生懸命仕事をしていて、すでに業務は限界寸前です。クライアント数が多いか、クライアントからの要望が多いか、これもどちらかが主原因です。

3、従業員は合理的
ここでさらに目を向けるべきは、「従業員の行動は原則合理的」であるということです。戦略を立てるのが好きな人間は、ここを勘違いしているケースが多く、本質を見失います。上記の例に上げた事例では、営業部員は多くの時間を大小分け隔てなくクライアントを第一に考えて行動した結果、キャパシティが上限に達しており、それぞれの対応が顧客の満足度を超えるのが難しくなっていました。つまり、現場では現場なりの不文律や受け継がれた「やるべきこと」があり、その視点に立てば十分合理的なのです。これらの従業員の行動で行われていることをしっかり現場に入って把握し、本当にやるべきなのか否かを見極める目利きができなければ、本質的な組織戦略は立てられません。

4、目的を共有し、資源と障害を明確にせよ。
つまり、ここでは戦略を立てる部門と現場の認識に隔たりがあり、根本的な課題解決がズレています。手順を間違えた課題解決アプローチは業績を負のスパイラルに叩き込みます。そうしないためには、現場が保有している資源(時間・マンパワー・知識など)と、彼らがその資源を使わされている障害(クライアントからの要望レベル、競合の存在、煩雑な業務など)を正確に理解して、解決の正の手順を踏んでいく必要があります。

中途半端な机上の空論に惑わされずに、現場を直視して体感し続ける。そうして初めて機能する組織作りができるのです。

JUGEMテーマ:経営学
author:dhr, category:組織論, 00:57
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