日本生産性本部が発表した労働生産性の話に、理解しやすい論点で反論(?)していた記事を発見しました。統計の誤謬というか、良くある数字のエンターテイメントですね。
日本がギリシャより労働生産性が低いのは、当たり前。
http://blogos.com/article/152178/
データを扱って生きている人間の端くれとしては、定量データを鵜呑みにせず、データの素(ローデータ)と集計方法には気を付けて記事を読み解きたいと思います。
国家レベルの労働生産性も大事なのですが、僕の生業としては個別企業ごとの生産性をどこまで求めるか、ということです。
労働生産性は高いに越したことはないのですが、引用したBLOGOSの表にもある通り、どこまで自社の従業員の採用レベルを下げるのか?ということと、その意思決定には限界利益の概念が必要ということを理解していないと、一概には決定できないということです。
http://tengara-consultant.appspot.com/05_economy/02.html(引用)
経済学で考えると、上記の図のX1が損益分岐点、Xが利益の最大化ポイント、X2が売り上げの最大化ポイントになります。よく誤解されていることですが、売り上げの最大化ポイントと利益の最大化ポイントは異なります。ここをそもそも勘違いしていると、経営判断を間違うことになります。
せっかく利益最大ができるポイントがあったのに、通り過ぎて売り上げの最大化を目指し、総費用が上がって経営数字が圧迫されるケースが意外に多いんですよね。
さて、労働生産性も同じことで、X1で最大化するのであとは経営戦略にのっとってどこまで費用を投資するかです。X2を超えてしまうのは言語道断ですが、ギリギリX2を見極めてマーケットシェアを取りに行く作戦も可能です。
【要約】
・マーケットシェアを取りに行く場合は、X2の売り上げ最大化を考える。新規事業などでは長期スパンでの計算でXおよびX2を見極める。人材はギリギリのレベルまで採用するのでリスクも同時に高まる。リスクテイクとリスクヘッジを頭の片隅に。
・金の成る木の事業や、マーケットでの安定ポジションをとっている場合は、Xでの利益最大化を突き詰める。人材に関しては費用対効果を考え、組織の全体最適を前提に計画する。